山梨の大学を卒業後、東京で1年間会社員として働き、那須塩原へ戻ってきたという渡邉さん。その後、当時の勤務先だった大学の教授先生からのご紹介もあり、また東京の会社へ転職したそうです。なぜ東京に住むのではなく、那須塩原から通うことを選んだのでしょうか?

新幹線を仕事時間、自分時間に活用できる空間に

勤務先が東京ですから、最初は東京に移住の必要があるかなと思っていました。でも、那須塩原駅から東京に通ってる人ってけっこういるんですよね。そんな噂も耳にしたので、勤務先には最初だけ新幹線で通勤させてくださいとお願いし、新幹線通勤を始めました。
那須塩原駅から東京までは、新幹線で約70分。朝の車内ではノートパソコンで会社のメールを確認し、その日の仕事の段取りなどをイメージします。そうすると職場に着いてからとてもスムーズに仕事がこなせるんですよね。
帰りの新幹線では、帰り際に急に入った仕事などを処理したり、音楽を聴きながら読書したりと、自分の好きなことをしてゆっくり過ごしています。忙しい毎日の中でも、自分の時間をつくれることが新幹線通勤の魅力ですね。最初だけのつもりがあまりの快適さに3年たった今でも新幹線通勤を続けています。
余談ですが、列車によっては那須塩原駅は終着駅なので、仕事帰りにお酒を飲んで車内で寝てしまっても安心なんですよ。私も何度か駅員さんに起こされたことがあります(笑)。駅員さんに迷惑がかかるので、十分注意してますが…。

おだやかな自然環境と地のエネルギーに満ちた食材に身体が浄化される

通勤時間はかかりますが、豊かな自然環境から得られるものなど、仕事以外のメリットは明らかに那須塩原のほうがあると感じています。昔なら田舎は物が足りないということもありましたが、今はインターネットですぐに手に入るので特に不自由はありません。
那須塩原の人たちは食に対して関心が強いのか、自然食品が充実しているのも魅力です。
妻が自然食に関心を持っていることもあり、私自身も、自然食を食べるようになったんですが、食事で身体が浄化されていくような感覚がここ1、2年の間であります。身体がガタつかないというか、逆に回復していくような良いイメージが30歳近い今になって出てきたと思いますね。
地場のもの、季節のものが近くの産直などで手軽に得れるということの恩恵も大きいのかもしれません。すぐ近くにそういう環境があるというのはとてもありがたいことだと思います。

新幹線の交通費負担はあっても断然安い生活費

新幹線通勤というと、交通費について気にされる方もいらっしゃるかと思います。たとえば、会社から手当として40%を支給してもらい、60%が自己負担だとしても、東京で今の水準で暮らすことを考えれば断然安いです。特に、東京と那須塩原では家賃が全然違います。同じ2LDKでは、10万円くらい差があるんじゃないでしょうか?ですから、会社が補助を認めてくれるようであれば、新幹線通勤も一つの選択肢だと思いますね。
私は、結婚と出産を機に実家の2階部分をリフォームし2世帯住宅にして生活しています。東京で家を建てたり、マンションを購入するということは全く考えませんでしたね。生まれ育った環境や、3世代で暮らせるというところに魅力を感じていましたし、子育てのしやすさも那須塩原ならではだなと常々感じています。

新幹線通勤だからこそ見つけた週末の特別な楽しみ

週末などはスペシャル定期(新幹線の定期)があるので、上野や大宮まで足を延ばすこともできます。娘と動物園に行ったり、博物館に行ったり、買い物をしたりして楽しんでいますよ。
娘も新幹線や電車に乗るのが好きですし、小児は無料なので、家族3人で行っても大人1人分の料金で行けてしまうんです。子どもが小さい今のうちに、新幹線通勤のメリットをぜいたくに活用させてもらっています。

上野動物園(東京都)

新たな働きかたが住む場所の選択肢を広げられる

最近では「テレワーク」という新しい働きかたも広まってきています。在宅でいつもの仕事ができるとか、場所を問わない働きかたもできるなら地方に住むのもいいんじゃないか、という意識が都会に住む人の中から生まれることも今後ありえますよね。仕事をする場所は、会社だけではなく、もっと選択肢がいっぱいで、もっと自由であっていいと思うんです。
5月の田んぼの水のキラキラした感じや、秋の山並みの美しさ、きれいに耕された農地。そんな風景を都会の人に見てもらえたら、那須塩原を好きになったり、ここに住めるかもという気持ちを持ってもらえるんじゃないかと思います。仕事と一緒に住む場所としても、ひとつの選択肢として那須塩原を選んでもらえると嬉しいですね。

大宮の鉄道博物館(埼玉県)



新幹線通勤のメリットを生かし、平日も休日も有意義な時間を送っている渡邉さん。地元を離れて都会に住んだ経験があるからこそ、改めて見えてきたものもあるのではないかと思います。
「自分にはできない」「関係がない」と思っていることでも、環境の変化や時代の変化が後押しとなり、新たな道が開けることも。可能性を狭めてしまうのも、広げられるのも、自分自身なのかもしれませんね。